2年ぶりのフジロック、終了しましたね。
インターネット見てるとスゴイことになってて、ここまでフジロックが話題になるの、賛否両論あったという開催初年度以来なんじゃないかという感じだった。
インターネット上にて散見された様々な意見を見ていて、なるほどなと思う事~違うかなぁと思う事とかたくさんあったので、フジロックを愛する人間として、たまにフェスに関わったりする制作会社の人間として、気になった疑問に一個ずつ個人的な所感と意見と書いていきます。(あくまでもフジロック好きな人間のイチ意見です)
開催に関しては、否定も肯定もしません。今はやらない方が良いとも思ってたし、やらざるを得なかったこともわかる。やるべきだったとは思わないです。
■ワクチン2回済みの人だけにすればよかったのでは
フジロックの主な年齢層は20代~40代ですが、現状20代、30代全然接種できていない状況ですよね?
欧米だと既にそういうオペレーションでフェス開催してますけど、ワクチン供給が間に合ってない日本だとまだ早い。
しかも、今年のフジロックは国内アーティストだけのラインナップになったことで、参加者の平均年齢がかなり若くなりました。10代のファンが多いアーティストもかなりいたからワクチン済みだけにすると参加できない人が大量発生することを危惧したと思います。
あとワクチン証明書が紙っていうのも、雨が多いフジロックは不安ですね。しわしわになりそう。早くデジタル化してほしい。本当にそういう所がクソ。
7月に開始したロラパルーザは、ワクチン接種証明or48時間以内の陰性証明が必須。ない場合は入場不可だったみたい。
■陰性証明提示必須じゃだめなの?
私もこれは思ったのですが、PCR検査を実施して陰性証明を提示した人だけが参加できるというオペレーティングシステム自体でかなり費用がかかる。
場所がサマソニならまだしも、苗場という人里離れた場所の場合、現地のボランティアだと足りず新潟市や都心からスタッフ募集しないといけなくなる+4日~5日の宿泊費は運営負担なので相当費用かかります。
あと日本PCR検査の体制マジでクソで
・ちゃんとした証明を出すPCR検査(海外入国するときに必要なやつ1万円~位)
・その辺でやってる有料PCR検査(2980円位、結果が出るまで半日~1日)
・モニタリング検査(東京都がやってる無料ゲリラ検査、結果が出るまで3日~)
こんなバラバラな体制じゃ、各自PCR受けて絶対結果を提示してね。っていうオペレーションも大変そう。
そもそも世界の他の国では、PCR検査どこでも誰でも無料で受けれるんですよ。なんで安くて2980円払って受けないといけない?
※PCR検査無料で受けれる国ってどこの情報だよ?というリプをもらったので8/25以下追記。
NYでは市内に検査場を設置したり、病院で受けれるようにしています。NYに限らずアメリカは比較的無料で気軽に受けれる州がほとんどのようです。マンハッタンではPCR検査バスとかも出してました。世界で日本だけが有料とは書いてないです。ドイツはワクチン接種率上げるために有料にしたみたいですね。
無料検査に対する費用はどこが捻出するのかともありましたが、そういうための税金と保険料なのではと私は思ってます・・・。
ロラパルーザはシカゴの街中なので、開催前こんな感じでテストを呼び掛けていたみたいです。都市型フェスは今後こういうのやった方が良さそう。
イギリスだと、ラテラルフローという無料検査キットが街中でゲットできて、検査の結果を国が作ったサイト上で登録→陰性だとイベントに参加が可能。というシステムができてるらしいです。(GREENMAN FESTIVAL)
*以下8/26追記
イギリスはwithコロナでスポーツやフェスティバルを完全に復活させようとしていますが、イベント開催によって感染者数爆増してしまってますね。
その辺は大山君がまとめてくれています。なかなか厳しい状況。
アメリカのフェスは9月から本格化して、フ―ファイ, Tame Impala, Tyler. The Creatorとか出るBonnaroo、Billie Eilish, GREEN DAYなどが出る Life is beautifulが続くので、アメリカのフェス動向も気になるところ。
■チケットの払い戻しされたくない
2020年のチケットを2021年に振替可能にしているイベントが多いですが、払い戻しされたくないんです。
ワクチン接種者限定すると必然的に行けない人出てくるから、大量に払い戻しされる可能性が出てくる。2022年まで有効にするっていう方法もあるけど、忘れそうだし、チケット会社やイベント会社がその頃まで生き残れているのか問題。
こういった状況で、9月までチケットの払い戻しを受け付けたフジロックはよく決断したなと思います・・・。
■時期変えればよかったのでは
苗場は9月すぎるともう秋の気配越えて夜寒くなるのでちょっと難しいのかも。
あとSMASH的には10月前半に朝霧JAMがあるので、(今年の開催は不明)準備的に手が回らなくという事情があるのだと思います。
関係ないけど、オリンピックはマジで9月でよかったんじゃねと思ってる。
■年齢制限すればよかったのでは
私もこれは思っていて、1日目だけ現地に行ったら意外と親子連れがいて驚いたのが正直なところ。子どもは絶対ワクチン打ってないし、コロナに対する認識高くない。2週間後には学校が始まる、このクソ暑い中マスクしてないといけない状況でよう連れてきたなと・・・。
それぞれの家庭、様々な事情、価値観があるとは思いますが、16歳以下は参加できないようにするとか、もうちょっと方法あったのではとは思った。
イギリスのGREENMAN FESは16歳以下参加不可みたいです。
■有料配信にして無観客でやればよかったのでは
これは昨年末にも実施していましたが、オンラインライブって全然採算取れないんですよ。コロナスタート直後は盛り上がりましたけど、今はもうみんなあんまり興味ない。
BTSやサザンはめちゃくちゃ儲けてるじゃん!という意見も見ましたけど、ファンの目的、そもそも構造が全然違う。
私もBTSのファン(ARMY)なのでわかるのですが、ジャニーズやKポみたいなアイドルのヲタクは、普段からなかなかチケットが取れない。あと画面上でもいいからとにかく推しの姿が見たいので、オンラインでもみんなチケット買うし、推しのためにめちゃくちゃグッズも買う。
ちなみにBTSのファンは世界中にいて、母数が違います。ちょっと異質なファンダムなので、「BTSに学べばいい」みたいな簡単に言われると、「え?」てなります。関係ないですけどBTSのARMYについて調べるととても面白くて、いつの間にか自分もARMYになってるのでおすすめです。
フェスティバルのファン、特にフジロックやライジングサン、ロッキンもそうですけど、「場所」が大事なんです。あの場所が特別で、あの場所で観て聴く音楽とか、いつもの屋台とか、仲間と会ってワイワイやりたい。
オンラインライブでは絶対体感できないことなので、よっっっぽど観たいアーティストが出ない限りオンラインフェスのチケットは買わない。
特にフジロックのファンは海外アーティストを楽しみにしている人が多いので、国内アーティストだけ出演の有料オンラインチケットだったら買わない人が多いと思います。(ぶっちゃけ私もそうですね)
仮に無観客有料配信でやるとしても、いつも通りグリーンステージに巨大な機構を設営していつも通りさながらの演出で配信やらないと、フジロックファンがみんな観るみたいなのは難しい気がします。
多分グリーンステージ設営するだけでとんでもない額かかるので、それを一部のオンラインライブチケットでペイできるかっていうと、無理です。
ましてや、フジロックに出演するようなアーティストって厳選されていて、ロッキンみたいにサザンやBzとか出すようなフェスじゃない。(悪口じゃない)
過去に出演経験のある星野源、椎名林檎、あと宇多田ヒカルあたりを全員キャスティングできたらペイできるかもしれないけど、ギャラ+制作費でとんでもない事になりそうなので結局赤字だと思う。
フジロックは長丁場ということもあり有料配信するよりも広告収入の方が収益率高いと思います。
■海外フェスの状況は?
イギリスのグラストンベリーは、今年の6月に現地会場から配信やってましたけど、超チープだった。
しかも当初有料チケット制だったのに、配信システムがバグってしまったため結局無料で全員観れる方式に変更。希望者は払い戻しという残念なオペレーションだった(イギリスぽい)
コーチェラもガバナーズボールもロラパルーザも、会場からの無観客配信ライブ1回もやってない。過去のアーカイブとかドキュメンタリー映像をYouTubeで公開して終了。
アメリカの場合出演者のギャラがバカ高いというのもあって、無観客のオンラインフェスが採算取れないことをわかってる。
ちなみにコーチェラのドキュメンタリー、ものすごく良いので是非観てみて。
私も全部網羅できているわけではないので、おそらくですが、唯一オンラインライブ配信やったのは、ベルギーのEDMフェス、Tomorrow Land Festival。バーチャル上にフェス会場を作ってたけど、コロナが始まって割とすぐに実施したのと欧米は完全ロックダウンだったこともあって結構盛り上がった。でも今年はやってない。もうリアルでどうやるかの方向に向いてるはず。
だからフェスティバルのオンライン配信は儲からないのは別に日本の問題でもなんでもなくて、単独アーティストの音楽コンサートと、フェスティバルに求めるものがちがうということ。
■音楽コンサートとフェスティバルの構造の違い
音楽コンサートはアーティストが主催としていますが、フェスティバルがイベントプロモータ―が主催者で、アーティストたちを招聘して開催します。
アーティストだけじゃなく、飲食ベンダー、雑貨屋さんとか様々な出展者を呼び、みんなが楽しめる場所を作るのがフェスティバルなので、言わば小さな街です。
なので、めちゃくちゃ色々な会社、スタッフが関わってくる。
特に飲食ベンダーなんて、フェスシーズンで1年分稼いでたりするから、フェスがないこの2年、ましてや飲食営業がちゃんとできない状況はかなりキツイみたいです。
コンサートもフェスティバルも、共通しているのはアーティストがライブを実施するには音響、照明、設営、警備、警察、とかライブレポートを書くメディア、ライター、協賛を探してくる広告代理店、協賛社、協賛ブースを担当する運営会社、チケット販売会社、アプリの運営、旅行会社、バス会社などなど、あげだしたらキリがないくらいスタッフがいて、その人たちの生活が懸かっている。
音楽なんて余暇でしかないですけど、それを職業にしている人がめちゃくちゃいる。ツイッター見てると意外と知られていない感じのツイートが散見されたのであえて書きました。
しかもそれらを取りまとめるイベントプロモータ―めっちゃ大変。
学生時代の文化祭運営、各クラスのとりまとめと、先生たちへの報告や許可取り大変だったと思うんですけど、簡単に言えばそんな感じです。
アジカンのGotchとGEZANのマヒトが「フジロックはネームこそ大きいが巨大な自治だ」とnoteに書いていましたが、まさにそう。
この日本のフェスの”自治感”は、自分も仕事でフジロックに関わるようになってびっくりしたことのひとつ。
コーチェラやグラストに行ってより感じたけど、フジロックってめちゃくちゃ村で、日高村長による村なんです。それが、アーティストと長年のファンにフジロックが愛される理由のひとつでもある気がする。
グラストンベリーを作ったマイケル・イービスおじいちゃんがみんなに愛されるように、日高さんもそうなんです。ちゃんとグラストンベリーの精神を受け継いでいるんですね。
ちなみに私は学生時代に文化祭の実行委員やったのがきっかけで、そのままそういう感じの業界に就職しました。入社以来楽しい毎日ですけど、向き不向きがあるのでおすすめはしません。
■イベント業界ピンチです。
多分イベント業界どこの国もヤバいです。
100歩譲ってグラストンベリーは、会場が主催者の持ち物なので土地代はかからないけど、苗場スキー場は株式会社プリンスホテルのものなので毎年借りているんですよね。
アメリカは、エンタメ大国なのでLIVE NATIONっていう巨大なプロモーター会社があり、韓国も政府がエンタメに力入れてて、財閥みたいな会社が牛耳ってるのですが、日本は斜陽産業です。政府がエンタメ&文化に対してないがしろにしてきたツケが来ています。マジでお金がないです。お金もないし、保障もない。
フジロックを運営するSMASH、サマソニを運営するクリエイティブマン、ロックインジャパンを運営するロッキングオンとか、全然大きくない会社。
JOCに比べたら、地球とミノムシのくらいの規模です。並べてはいけない。
■国との関係があって利権で開催できたんだという意見
詳しいことはわからないけど、んなわけないやん。アトミックカフェを見てみろ!!!!
MISIAさんの国歌斉唱についても話題になってますが、運営が出演アーティストのセットリストに云々言う事は一切できないので。
それにしても、THA BLUE HARBのBOSSさん、最高でしたね。本物だった。一生ついていきます。
■アーティスト側に「出るんですね失望しました」みたいな意見
アーティストにしてみたらオファー来たら出たいに決まってるじゃないですか。
アーティストによるとは思いますが、人によっては憧れの舞台。高校球児で言う甲子園、アスリートならオリンピック、アマチュアバレリーナならローザンヌ、なんです。
そんな憧れの舞台にオファーされたら出たいに決まってる。だからみんな悩んで、悩みましたよ声明を発表されていたのだと思います。
さすがに毎日いろんな人が声明発表しすぎて、出演にあたり一筆書かないと出れないのかよとも思ったけど。海外アーティストはやらなそうなムーブだった。
あとなによりも彼らにとってみたらステージが「職場」。
五輪の時もそうだったけど、出場者&出演者に対する「ボイコットしろ」みたいなコメントは違うなと思う。仕事すんなって言ってるみたいなもん。
おそらく給料制じゃないし、物販とか印税あるとはいえ、ライブやったりフェス出ないと収益ないし。音楽作ることが仕事だけど、ほとんどのアーティストはライブをやりたいと思う。
■結局現場はどうだったの?
協賛の仕事をしていたので、1日目だけ行きました。
毎年仕事も兼ねて木曜~月曜の朝までフル参加していたけど今年は必要最低限の業務をしてすぐに帰ってきた。
実家で60代の両親と暮らしていて、運よく家族全員ワクチン2回目接種から3週間以上経っているとはいえ、直近で身近な友人が2人陽性になったりしたこともあり、不安だったし、果たして今開催するべきなのかとか考えたり、かなり慎重な気持ちで行きました。
資格試験の勉強もあったのでこの半年くらい、仕事以外でほぼ家から出てなくて事前に受けたPCR検査、抗原検査も陰性でした。出発前1週間は犬の散歩以外外出しないようにした。
”雰囲気はピリピリしてない”みたいに書いてる人もいたけど、個人的にはそんなことなかったと思う。特に金曜日は。
いつもと違った雰囲気で、なんとなくみんな100%盛り上がれている空気ではなかった。
写真祭りのエントランスゲートでも、ほとんどの人が1枚撮ったら即移動みたいな雰囲気だった。
荷物検査もかなり一人ずつちゃんとやっていた印象なんだけど、ザルだった人もいたらしい。
マスクを外している人は、私の見る限りいなかったし、食事をしたあとそのまま外しちゃってる人とかいると、すぐにスタッフが注意しにくるみたいな感じ↓
毎年行ってる私から見たら、めちゃくちゃ人少ないし、ステージ前はみんな一定の距離を取って観ているように思えたけど、初めて行った人や行ったことない人からして見れば対策できていないようには見えるかもしれない。
なので感染対策できていたかどうかみたいな結論はわかりません。
今年は花王とコゼットジョリさんが協賛していて、スマホ除菌ブースや、手洗い場にハンドソープがあったりしてよかった。これから2社とも推します。
コゼットジョリさんのハンドソープめっちゃ良いにおいだった。今度見つけたら買います。
いつもなら手洗いも2秒くらいで済ます人がいるフジロックですが、今年はみんな30秒以上洗ってる人がほとんどで、全員ハンドソープ使うし、なくなったら即ボランティアの人が補充しにくるみたいな感じで良かったです。
■これからのフェスティバル、どうなるのか?
既に欧米諸国ではフェスティバルの開催に向けて、どうやってwithコロナの中開催するか検討されており、コーチェラ主催者のGOLDEN VOICEなんかはワクチン必須にするというアナウンスまで出してます。
その辺は、一緒にグラストンベリ―行った大山君がかなり素晴らしくまとめてくれているので、海外フェス情報気になる人は要チェック。
海外フェスに行こうと考えている人は、今のうちに「ワクチンパスポート」申請しておいて損はないです。住んでる各自治体のHPに記載あると思います。私は申請してもう入手しました。
■頑張ってくれ!スーパーソニック!!!
スパソニまで1か月を切っている。コロナ渦初の海外アーティスト招聘は果たして叶うのかどうなのか心配なところ。
ラインナップは正直めっちゃ惹かれるとは言えないものの、行きたいと思っている。
フジロックと違って都市型だし、マリンスタジアムという整備された会場での実施、ボランティアの招集もかけやすい、そろそろワクチンも徐々にいきわたりつつあるので、ワクチン証明&陰性証明提示とか対策しても良いと思う。
また大型フェスが非難のやり玉にあげられるのが耐えられないから。
■フジロック大好きです。
果たして今年のこの時期に開催することが正解だったのかはわからないけど、個人的には1日でも行ってよかったと思ってる。
帰ってきてまだ3日なので不安ではあるけど、フェスティバルは私の生きる希望であり、活力だということを思い出した。
コロナが始まってから約1年半、ライブもフェスも一度も行ってなくて、ずっと家に引きこもって仕事と資格試験の勉強ばっかりしてたので。
去年フジロック開催する予定だった時期に苗場でキャンプしたとき、何もない会場を見ている分、やっぱりあの特別な場所に来れて、ステージがあって音楽が大音量で流れている風景に感極まったりした。
フジロック大好きだけど、変わってほしいことはたくさんある。
女性アーティストを増やしてほしいとか、手洗い場増やしてほしいとか、ペットボトル廃止にして水無料してほしいとか、10代20代の若い子がもっと来やすくなるように学割導入するとか。
とりとめもない文章になってしまいましたが、フジロックが大好きです。一生続いてほしいし、世界に誇れるフェス。フジロックをきっかけに日本の音楽を、海外の音楽を知れるような場所になってほしいと思ってる。
来年はいつも通りの、誰もが笑って朝まで騒げて、なんの分断も起こらないフジロックになることを願っています。